貴重な講演を聴いてきました。
浜松商工会主催、
日本理化学工業株式会社
大山泰弘会長の講演です。
日本理化学工業は、主にチョークを作っている会社で、
雇用している従業員の7割以上が知的障害者という会社です。
最近テレビなどでもよく取り上げられているので、名前を聞いたことのある方は多いかと思います。
一番印象に残ったことだけ書きます。
知的障害者の問題を、経済面から見たお話をされていました。
ベルギーでは、企業が知的障害者雇用の場を設ければ、そこで働く障害者の
賃金は全て国が負担するのだそうです。
ベルギーは、税金をたくさん投入して福祉を充実させているな。
なんて感じたのですが、それは間違いでした。
日本では、知的障害者は教育課程が終わると、就職活動をします。
そこで就職できなければ、施設に入るそうです。
そして、一度施設に入ると、もう就職するということは難しいそうです。
(大山会長は、初めて障害者を雇用した頃の話をされていたので、今は少し事情が異なるのかもしれませんが。)
そして、施設で一生を過ごす。
その施設での、人件費や設備費などいろいろな費用をトータルすると、
20歳〜60歳まで、40年間施設に入っていると、
1人の障害者につき、2億円がかかるのだそうです。
生涯賃金って、2億円くらいじゃないでしょうか。
ってことは、
・ベルギー方式で施設に入らない障害者
・ずーっと施設で過ごす障害者
どちらにかかる費用(われわれの税金)も大差ないということです。
障害者には働き口が提供され、人生が充実する。
企業も、賃金は100%国の負担で労働力を確保できる。
税金だって、より有効に使われる。
除け者をつくらない、本当の共同社会ができる。
誰も損しない、みんなが得する、素晴らしいやり方ですね。
大山会長は
「皆働社会」(かいどうしゃかい)
という言葉を使われていました。
憲法に唱われている通り、
「全ての国民は労働の権利を持ち、義務を負う」
それが、みんなの幸せへの第一歩。
いち早く社会の仕組みを整えて、実現していきたい。
小学生の頃、隣の席に座っていた知的障害者のSくんは、
いつも寄声を発していたKくんは、
よくパニックになっていたSさんは、
今ごろ、どこでなにをしているんだろう……。
そのことがとても気になった。
小学校に尋ねれば、消息は分かるのだろうか……。

講演後、名刺交換させていただきました。
今回の講演、いつもの商工会のセミナーよりも拝聴者が少なかった。
用意されている席自体が少なかった。
それがとても残念だった。
『中小企業の活路〜知的障害者に導かれた企業経営から〜』
このタイトルだと、この不景気の最中、浜松で人を集めることはできないのだろうか。
寂しいことだ。
でも、貴重な講演を企画してくれた浜松商工会議所に感謝します。