(フィクションです)
今日、息子が死んだ。
数年前に始まった徴兵制により、二十歳になると同時に、一年間の兵役へと出かけて行った。
荷物をまとめ、トランクを引きずりながら手を振った笑顔が、今も心に焼き付いている。
あの時、どんなことをしてでもとめればよかった。
たとえ犯罪者となっても、非国民と後ろ指をさされようとも、引き止めればよかった。
今思えば、あの2012年、年末の総選挙が全ての始まりだった。
憲法九条の改変。
原発や地震や復興の影に隠れ、いつの間にか進められていた動き。
あの選挙から17年、北朝鮮の治安維持のために平和維持軍に参加し、息子は銃弾に倒れたのだ。
息子を失った私は誰を恨めばいい?
息子を撃ったであろう、北朝鮮の兵士か?
息子を現地へ派遣した国防軍か?
徴兵制を始めた政府か?
憲法九条を改変した与党か?
それとも、あの時投票所へ足を運ばなかった自分か?
息子の死は、意義のあるものであったのか?
息子が死ぬことにより、なにかが変わったのか?
息子はお国を、世界を守ったのか?
息子は私たちのために死んだのか?
それなら、代わりに私が死ねばよかったのだ!
あとに残ったのは、ただただ後悔のみだ。
むなしい……。
2029年 3月12日
……。
本日の中日新聞の記事によると、
イラクの戦闘で、集団的自衛権を行使して派兵したイギリス兵は200人近く亡くなっているそうです。
アメリカ兵は4,500人、イラクの方(兵隊以外も含めて)は十万人以上。
日本にも上記のような未来が、十分にありうると思います。
もちろん、「立派な息子だった」「これが当然の姿だ」という方もいらっしゃるでしょうが、
よねむしはイヤです。
たかが一票だけど、投票所に足を運ぼう。
みんな、いろいろな考えや思いがあると思います。
自分なりの未来を想像して、その一票を投じよう。
人ごとじゃないのだ、あなたや、あなたの大切な人の命へも繋がる、大切な一票なのだから。