遠くで見ると分からなかったけど、こうして近くで見るとデカイのな。
まだまだ、もっともっと高くする。
そう、天に届くまで……
そんなに高くして、何しようっての?
バビロニアのジッグラトみたく、神に人間の存在を顕示するとか。
いや、そんなくだらないことはやらない。
……。
この塔が完成したら、その頂から電波を流す。
電波?
そう、この高い塔が影響を及ぼす範囲を想像してみろ。
この日本の大半の人間に同じ電波を浴びせることができる。
そして、それをコントロールできるのは、この塔に住む俺だけだ。
……。
神に挑むような愚かなことはしない。
ただ、神の下で安住している民の一部を、好きにさせてもらうだけさ。
その程度なら寛大な神は許してくれるだろうさ。
なんか『20世紀少年』みたいだな。

と言うわけで、
東京旅行へ行ってきた。
行ってきたと言っても、つい5年ほど前まで住んでいたんだけど。

久々に訪れたが、浜松に5年住んだ後に行ったせいか、やたらテンポの早い街だな、という印象だった。
正直、住みたいとは思わなかった。

そして、この塔。東京スカイツリー。
普通に撮った写真でも、なんか合成写真に見えてしまう。
それだけ、場違いなものが場違いな場所に立っている印象だった。
しかも、空気の悪い東京だけあって、なんか靄がかかっている。
何度見ても、合成写真か特撮セットに見える。
ほら、ウルトラマンでも撮影しそうな。
雷門の前から、こいつの下まで歩いて行ってみたが、
なんか現実感の伴わない、不思議なバベルの塔であった。